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2025/06/17   

床下にカビ!?漏水が引き起こす危険な兆候と今すぐできる対策

床下のカビと漏水は、気づかないうちに健康や住宅に深刻なダメージを与えます。
【記事を読んで分かること】カビと漏水の原因、発見方法、健康や建物への影響、そして予防と対策が分かります。
【記事を読むメリット】床下のトラブルを未然に防ぎ、安心で長持ちする住環境を維持するための実践的な知識が得られます。

家の中でも特にカビが発生しやすい場所のひとつが「床下」です。普段目にすることのない空間だからこそ、湿気や水分がたまりやすく、知らないうちにカビが広がってしまうことがあります。特に漏水が絡むと、その進行はさらに加速し、住宅や健康への深刻な影響を及ぼす可能性があります。ここでは、床下がカビの温床になりやすい理由と、漏水が与える影響について詳しく解説します。

床下は地面に近く、通気が悪いことが多いため、もともと湿気がたまりやすい環境です。特に日本のような多湿な気候では、外気の水分が地中から上昇し、床下空間にこもりがちになります。さらに、築年数の古い住宅や、床下の換気口が少ない家では、湿気が逃げにくく、常に高湿度の状態が保たれてしまうのです。

また、断熱材や床材が湿気を吸収することで、カビの栄養源が揃いやすくなります。温度・湿度・栄養というカビの繁殖に必要な三大要素がそろってしまうため、床下はまさにカビにとって理想的な環境となってしまいます。

換気不足のほか、周囲の植栽や外構の設計が原因で、雨水が床下に流れ込みやすい構造になっていることもあります。これらの条件が重なると、床下の湿気はますます高まり、放置すればカビの大量発生へとつながります。

漏水が床下カビの原因となるのは、単に水がたまるからだけではありません。漏れた水は断続的かつ広範囲に湿気を供給し続けるため、乾くことがなく、常に湿った状態を保ってしまうのです。この継続的な湿潤環境は、カビの繁殖スピードを加速させます。

漏水の原因はさまざまで、給排水管の老朽化によるひび割れや接合部の緩み、雨水の浸入、または家電の配管ミスなどが挙げられます。中でも床下の給水管や排水管は目視で確認しにくいため、小さな漏れでも長期間気づかず、気づいた時にはカビが広範囲に広がっているというケースが少なくありません。

さらに、漏水が続くことで床下の温度と湿度が常に一定以上に保たれ、カビだけでなくシロアリなどの害虫の温床にもなりやすくなります。つまり、漏水は単なる「水の問題」ではなく、カビや害虫などの二次被害を引き起こす「住環境の脅威」なのです。

床下の漏水は目に見えにくいため、気づいたときにはカビが広がっていた、というケースが少なくありません。特に水道代の急な増加や床下からの異臭などは、漏水のサインかもしれません。ここでは、床下の漏水を早期に発見するためのポイントと、見逃さないための定期チェックの方法をご紹介します。

床下漏水の初期サインを見逃さないためには、日常生活の中で「いつもと違う変化」に気づくことが大切です。たとえば、水道料金が急に上がった場合、それは見えない場所で水が漏れている可能性があります。また、床がフワフワしたり、踏むと音がするようになった場合は、床材が湿気を吸って劣化している証拠かもしれません。

さらに、カビ臭いにおいや湿った土のようなにおいが部屋に広がっている場合は、床下にカビが発生している可能性が高いです。特に気温が高く湿度も高い夏場ににおいが強まるようであれば、床下漏水が原因でカビが広がっているかもしれません。

また、基礎周辺の外壁や床下点検口の周辺に水たまりや湿った跡が見つかれば、それも漏水のサインです。早めに確認することで、被害の拡大を防ぐことができます。

床下は普段見えない場所だからこそ、意識的に点検を行う習慣が大切です。一般的には、少なくとも年に1回は点検を行うことが推奨されています。とくに梅雨の終わりや冬の乾燥期の終わりなど、湿気が多くたまりやすい時期の後には注意が必要です。

点検の際は、床下点検口を開けて目視で湿気・水たまり・カビ・腐食などの異常がないか確認します。ライトを使って奥まで照らすと、水滴の付着や配管の水漏れなどが見えることもあります。チェックポイントとしては、給排水管の接続部、断熱材の状態、基礎部分のひび割れや湿り具合などが重要です。

自分での確認が難しい場合は、住宅診断士やカビ対策業者など、専門家に依頼するのも有効です。赤外線カメラや湿度センサーなどの機器を使って、床下の湿度や漏水の有無を正確に診断してくれるため、被害が小さいうちに対処することができます。

放置してしまうと、床下のカビや腐食が家全体に影響を及ぼすことになります。だからこそ、定期的な点検と早期の対応が、住まいと健康を守るカギになるのです。

床下に発生したカビは、ただの見た目の問題にとどまらず、私たちの健康や住宅そのものに深刻な影響を与えます。目に見えない場所で静かに広がるカビだからこそ、気づいたときにはすでに深刻な被害となっていることも。ここでは、床下カビが人体に与える影響と、建物の劣化リスクについて詳しく解説します。

カビは胞子という微細な粒子を空気中に放出し、これを吸い込むことで人体に影響を及ぼします。とくに床下のカビは、床材のすき間や配管まわりから室内に胞子が侵入しやすく、気づかないうちに呼吸器系へ影響を与えることがあります。

代表的な健康被害には、アレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎などがあります。カビの種類によっては、慢性の気管支炎や肺炎を引き起こすケースもあり、高齢者や子ども、免疫力の弱い方には特に注意が必要です。

また、カビ臭が精神的なストレスとなり、倦怠感や頭痛、集中力の低下など、いわゆる「シックハウス症候群」に似た症状を訴える人も少なくありません。日常的に健康への影響を感じている場合は、床下のカビ汚染を疑ってみる価値があります。

床下のカビは木材をゆっくりと分解し、建材そのものの耐久性を大きく低下させます。木造住宅では、土台や大引き、根太などの構造材が床下にあり、これらがカビや湿気の影響で腐食すると、家全体の強度が著しく落ちる危険性があります。

さらに、床下の高湿度環境はシロアリの好む条件と一致しています。カビで湿った木材はシロアリにとって絶好の餌場であり、カビ被害とセットでシロアリ被害が進行することも珍しくありません。特に、カビによる腐食とシロアリによる空洞化が同時に進むと、床の沈み込みや傾き、最悪の場合は倒壊リスクにまで発展する恐れがあります。

住宅の価値を守るためにも、床下のカビは軽視できない存在です。早期に発見し、適切な対処を施すことが、長く安全に暮らすための重要なポイントとなります。

床下のカビや漏水は「見えないからこそ、しっかり対策」が基本です。一度発生してしまうと被害が広がりやすく、修復にも時間と費用がかかってしまいます。そこで重要なのが、事前に行う“予防”です。この章では、床下のカビと漏水を未然に防ぐための具体的な対策方法について解説します。

床下の湿気対策で最も効果的なのは、適切な換気を確保することです。従来の住宅では自然換気口が設けられていましたが、風の通り道が確保されていなければ十分な換気はできません。まずは換気口まわりに障害物がないかをチェックし、風が通るよう整備することが第一歩です。

近年では「床下換気扇」や「自動換気装置」を取り付けることで、機械的に空気の流れを作る方法もあります。湿気がこもりやすい地域や構造の家では、こうした機器を導入することで、カビの発生リスクを大幅に下げることが可能です。

さらに、地面からの湿気を遮断する「防湿シート」の施工も効果的です。床下の地面に専用のビニールシートを敷くことで、湿気が上がってくるのを防ぎ、安定した湿度環境を維持できます。これらの対策を組み合わせることで、床下の湿気問題は大きく改善されます。

カビの温床となる漏水を未然に防ぐには、配管の劣化チェックと適切な修繕が欠かせません。特に床下を通る給排水管は、目につきにくいため劣化に気づきにくく、小さなヒビや接続部の緩みが長期間放置されがちです。

まずは定期点検の際に配管の状態を確認し、樹脂管や金属管に異常がないかを専門業者に依頼して見てもらうことが重要です。経年劣化が進んでいる場合は、部分的な修理ではなく配管の交換も検討する価値があります。

また、新築やリフォーム時に配管を施工する際には、水の流れやすい角度や勾配、配管支持の確保など、施工品質にも注意が必要です。設計段階から水がたまりにくく、漏水しにくい構造を考えることが、長期的なリスク回避につながります。

さらに、水回りの機器を取り付ける際には、接続部分からの漏れがないか、工事直後に必ず点検を行いましょう。施工後しばらくしてから微小な水漏れが発生することもあるため、引き渡し直後から数週間は特に注意が必要です。

床下のカビや漏水は、「事前の備え」がなによりの防御策です。日頃のチェックと小まめなメンテナンスを心がけて、住まいを長く健康に保ちましょう。

どれだけ気をつけていても、気候や住宅の条件によって床下にカビが発生してしまうことはあります。大切なのは、発見した後の正しい対処と、二度と同じことを繰り返さないための再発防止策です。ここでは、床下のカビを安全に処理する方法と、継続的な予防のポイントを解説します。

床下にカビが発生していることに気づいたら、まずやるべきことは自己判断で無理に掃除をしないことです。カビの胞子は目に見えないほど小さく、無防備な状態で触れたり吸い込んだりすると、健康に大きな悪影響を及ぼします。とくに床下のような閉ざされた空間での作業は危険を伴うため、専門のカビ対策業者に依頼するのが基本です

信頼できる業者を選ぶポイントとしては、「床下環境診断」や「空気中のカビ測定」など、事前調査をしっかり行ってくれるかどうかが重要です。また、単なる除菌・清掃ではなく、防カビ処理再発防止コーティングなど、長期的な対策を提案してくれる業者を選びましょう。

除去作業では、カビの繁殖部分の物理的除去に加え、薬剤による殺菌、乾燥処理、防湿層の補修などが行われます。作業後にはカビの再発を防ぐため、換気環境の改善や水まわりの見直しが同時に行われるのが理想です。

一度カビを除去しても、床下環境が改善されていなければ再発のリスクは常にあります。カビの再発防止には、「湿気をためない環境」と「定期的なメンテナンス」が不可欠です。

まず、年に1〜2回は床下の点検を行い、湿度やにおい、配管の状態に異常がないかを確認しましょう。プロに点検を依頼するのも効果的で、カビの再発だけでなくシロアリや配管トラブルなどの早期発見にもつながります。

また、日常生活でも湿度管理を意識することが大切です。室内の加湿器は適切な使用を心がけ、浴室やキッチンの換気を怠らないようにしましょう。床下と室内は見えないところでつながっているため、室内の湿気が床下に影響を及ぼすこともあります。

さらに、漏水の予防として、水まわりの使用後に水漏れや配管まわりの湿り気がないかをチェックする習慣をつけると安心です。日々のちょっとした気づかいが、住宅全体の健康維持に大きく寄与します。

「見えないから気づかない」のではなく、「見えないからこそ管理する」。それが、床下のカビと漏水を防ぐための最大のポイントです。

一般社団法人 微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を中核とした活動を展開する専門機関です。現代の住環境において見落とされがちな「空気中の微生物リスク」に光を当て、健康と建物を守るための科学的かつ実践的な取り組みを進めています。

協会設立の背景には、平成27年に施行された**「アレルギー疾患対策基本法」**があります。この法律では、アレルギー疾患の予防や症状の軽減を図るために、生活環境や建築構造の改善が必要であると明記されており、微生物対策協会はこの理念に基づいた実務を担っています。

活動の中心は、カビの検査・調査です。私たちが普段吸っている空気の中には、目に見えない微粒子やカビの胞子が含まれており、これらが健康や住宅に悪影響を及ぼす可能性があります。協会では、これら空気中の浮遊物質を「見える化」し、濃度や種類を把握することで、的確な対策の立案を支援しています。

また、検査だけでなく、建物内部の微生物災害の認識と理解を深め、公衆衛生や福祉、環境保全の観点からも幅広く活動を行っています。特に建物内の微生物被害では、カビが最も多く報告されており、カビ菌は空中を浮遊したあと落下しても自然に死滅することはほとんどありません。そのため、カビの正確な状況把握と専門的な対処が求められています。

見えないカビを可視化し、見えるカビに対しても科学的根拠に基づいた対策を提案することで、協会は「安心・安全な住空間の創出」に貢献しています。快適な住まいを維持するために、今後ますます重要性が増すのがこの微生物対策なのです。

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