2025/06/14
中古住宅を購入した後にカビが発覚…そんな後悔を防ぐには事前調査が欠かせません。
【記事を読んで分かること】カビのチェック方法、見つけ方、業者調査、購入判断の基準が分かります。
【記事を読むメリット】安心して中古住宅を購入するために必要な情報と実践的な対策が身につきます。
1. 中古住宅に潜むカビのリスクとは?
中古住宅を購入する際、多くの人が気にするのは建物の構造や耐震性、雨漏りといった「目に見える部分」です。しかし、見落としがちなのが室内に潜むカビの存在です。カビは見た目だけでなく、健康被害や資産価値の低下につながる重要なリスク要因。まずは中古住宅におけるカビのリスクについて理解しておきましょう。
1-1. カビは見た目だけじゃない!健康・資産価値への影響
カビというと、黒ずみやシミといった「見える汚れ」のイメージが強いですが、実際は目に見えないカビの胞子が空気中に浮遊していることが多く、これがアレルギーや喘息、肌荒れなどの健康被害を引き起こす要因になります。
特に中古住宅では、築年数の経過により壁内部や床下、押入れの奥など、普段見えない場所にカビが定着していることも珍しくありません。この状態で生活を始めてしまうと、知らず知らずのうちにカビを吸い込み、体調不良を引き起こす可能性があります。
また、カビがある物件は資産価値にも悪影響を及ぼします。将来的に売却や賃貸を考えたときに、カビ被害が明らかになると買い手が敬遠し、価格の低下や売却困難につながるケースもあります。
1-2. 中古住宅にカビが多い理由と経年劣化の関係
中古住宅が新築と比べてカビのリスクが高いのは、建物の構造・換気・劣化状態が影響しているためです。とくに次のような条件がそろっていると、カビが発生・定着しやすくなります。
■ 中古住宅にありがちなカビ発生要因
- 築年数が古く、壁や床の防湿機能が劣化している
- 屋根や外壁の防水性能が落ちており、雨漏りが発生している
- 換気システムが不十分で、空気がこもりやすい
- 長期間空き家になっていて、湿気が溜まりやすい状態だった
- 押入れやクローゼットの中が通気性が悪い設計になっている
こうした環境では、一度カビが発生すると目に見えない場所に根を張りやすく、簡単には除去できません。そのため、中古住宅の購入を検討する際は、建物の外見だけでなく、カビの有無を含めた室内環境のチェックが不可欠なのです。
2. 内見時に確認すべきカビのチェックポイント
中古住宅の内見時、間取りや日当たりばかりに気を取られていませんか?実はこのタイミングこそ、カビの兆候を見逃さない最も重要なチャンスです。カビは隠れていて見つけにくいこともありますが、ポイントを押さえれば素人でも気づけるサインがあります。この章では、内見で確認すべき場所と注意点を詳しくご紹介します。
2-1. 見逃しやすい場所ランキングと確認方法
カビは「湿気がこもりやすく、空気が動かない場所」にできやすいです。とくに次のような場所は目視でのチェックを忘れがちなので、優先的に確認しましょう。
■ 内見時に要チェック!カビの発生しやすい場所
- 押入れ・クローゼットの奥
→ 壁の角や天井、床に黒ずみがないか確認。カビ臭にも注意。 - 窓枠やサッシの隅
→ 結露が多い場所はカビがつきやすく、ゴムパッキンも要チェック。 - 洗面所・浴室の天井・換気扇周辺
→ 湿気がこもる場所なので天井の色やにおいを確認。 - エアコン内部やフィルター
→ 使用頻度が少ない物件ではカビが繁殖している可能性あり。 - キッチン下の収納(シンク下)
→ 水漏れや配管の結露跡があれば高確率でカビが出ています。
■ チェックのコツ
- 懐中電灯を使って暗い場所を照らす
- クローゼットや押入れの中までしっかり開けて確認する
- 天井や角の部分を見上げる角度で確認する
- 気になる部分があればにおいを嗅いでみる
遠慮せず、しっかり確認することが後悔のない購入につながります。
2-2. 臭いや壁紙の浮きにも要注意!
カビは必ずしも見えるとは限りません。とくに中古住宅では、壁紙や床材の下にカビが隠れているケースも多く、表面上きれいに見えても油断は禁物です。
■ カビの兆候として要注意なサイン
- 室内に入った瞬間、ツンとするカビ臭・湿ったニオイがする
- 壁紙が一部だけ浮いていたり、波打っている
- クロスの接合部が黒ずんでいたり、にじんだような跡がある
- 畳や床板がブカブカ・カビくさいと感じる
また、売主が「芳香剤」や「空気清浄機」を設置していた場合、ニオイをごまかしている可能性も考慮しましょう。とくに長期間空き家だった住宅はカビ臭がこもりやすく、内見前に軽くでも換気してもらえるか聞くのもおすすめです。
3. カビの有無を調べる事前調査の方法とは?
内見だけでは確認しきれないカビの存在。特に壁の中や床下など、目に見えない場所にカビが潜んでいる可能性もあります。購入前にカビの有無を確実に把握したいなら、事前調査を取り入れることが大切です。この章では、自分でできる簡易的な方法と、プロに頼む本格調査の2つの視点から解説します。
3-1. 自分でできる簡易チェックリスト
まずは、誰でも簡単にできるカビチェック項目をご紹介します。内見時や再訪時にこのリストをもとに確認すれば、おおまかなカビリスクを把握することが可能です。
■ カビの簡易チェックリスト
☑ 部屋に入った瞬間にカビや湿気のにおいがする
☑ 押入れやクローゼットに黒ずみや変色がある
☑ サッシや窓枠にカビのような汚れがある
☑ 浴室や洗面所にカビ跡、または換気の不良が見られる
☑ 壁紙が一部浮いている、または変色している
☑ 畳やフローリングにカビ臭、シミがある
☑ シンク下にカビ・サビ・湿気跡がある
3つ以上当てはまる場合は、中〜高リスクと考えた方がよいでしょう。
さらに気になる方は、ホームセンターなどで販売されている簡易カビ検査キット(空気中のカビ菌を検出するもの)を使ってみるのも一つの手段です。
3-2. 専門業者によるカビ診断サービスの活用法
より正確にカビの状態を把握したい場合や、目に見えない部分の調査を希望する場合は、専門業者によるカビ診断サービスの利用が安心です。
■ 専門調査でできること
- 空気中のカビ濃度測定(浮遊菌検査)
- 壁や床の内部を非破壊で測定する赤外線調査
- ホウ酸処理や防カビコーティングの提案
- 施工前後の比較データを提供
費用は3〜7万円前後が相場ですが、後々のリフォーム費用や健康被害を考えると、住宅購入前の小さな投資としては非常に有効です。
■ 業者選びのポイント
- カビ専門業者か、住宅検査会社でカビに対応しているかを確認
- 検査項目や測定方法が明確に提示されているか
- 検査後の対応(除去やアドバイス)も含まれているか
購入前のタイミングで依頼すれば、交渉材料として売主に改善を求めることも可能になる場合があります。特に家族にアレルギー体質の方がいる場合や、小さなお子さまがいるご家庭は、検査結果の「見える化」による安心感はとても大きな価値となるでしょう。
4. カビが見つかった場合の対応と判断基準
もし購入を検討している中古住宅にカビが見つかったら、「この家はやめた方がいい?」と不安になりますよね。しかし、すぐに諦める必要はありません。 カビの範囲や原因、対応可能性によっては、適切な処置で住み続けられるケースもあります。この章では、買うか・やめるかの判断基準と、カビ除去の対応策について解説します。
4-1. 買うべき?やめるべき?判断の分かれ目
カビがあったからといって即NGではありません。重要なのは、**カビの「原因」と「範囲」、そして「改善できるかどうか」**を見極めることです。
■ 購入を再検討すべきケース
- 壁や天井の内部から広範囲にカビが浸透している
- カビの臭いが家全体に染みついている
- 屋根・外壁・配管などからの慢性的な漏水が原因
- 過去に雨漏り歴があるが、補修履歴が不明
これらは、表面的な掃除では対応しきれず、大規模なリフォームが必要になる恐れがあるため、購入前に慎重な判断が求められます。
■ 購入を検討できるケース
- カビが特定の箇所(押入れ・浴室・窓際など)に限定されている
- 明らかな湿気対策不足や換気不良が原因
- カビ跡はあるが、構造や下地にダメージが及んでいない
- 業者によるカビ除去と再発防止が見込める
このような場合は、事前に改善策を講じることで問題なく居住可能になることもあります。売主側との交渉や価格調整を視野に入れましょう。
4-2. 購入後のリフォーム・除去費用の目安と対応策
カビが見つかっても「気に入った物件なのでどうしても購入したい」という場合、リフォームや専門業者による対策が必要になります。以下はおおよその費用感と対応内容の例です。
■ カビ対策・除去にかかる費用(目安)
- 表面清掃(浴室・押入れなど):1〜3万円程度
- 防カビ処理(薬剤塗布・コーティング):3〜7万円程度
- 内部除去・下地修繕(壁・天井・床の一部解体含む):10〜30万円以上
- 漏水修理や断熱材交換を含む大規模改修:50万円〜100万円超のケースも
■ 対応策のポイント
- 原因の特定が最優先(水漏れ・結露・換気不足など)
- 除去だけでなく、防湿施工・換気強化・再発防止策を同時に行う
- 将来的に備えて、施工内容の記録を残しておく
購入費用とリフォーム費用をトータルで考慮し、「それでも納得できるか?」を基準に判断することが大切です。見た目だけにとらわれず、住んでからの快適さを重視しましょう。
5. トラブルを避けるためのカビ調査のすすめ
中古住宅の購入は大きな決断です。あとから「カビがあった」「健康被害が出た」と後悔しないためにも、購入前の段階でカビの有無を確認し、記録を残しておくことが重要です。この章では、トラブル回避のための具体的なカビ調査と、そのメリットをお伝えします。
5-1. 契約前にやっておきたい「住宅の空気検査」
見た目でカビが確認できなくても、空気中にカビの胞子が多く含まれている場合があります。とくに小さなお子さまや高齢者がいる家庭では、目に見えないリスクを事前に把握しておくべきです。
■ 空気検査で分かること
- 室内空間のカビ濃度(浮遊菌数)
- 人の健康に悪影響を与えるカビの種類(アスペルギルス、クラドスポリウムなど)
- 家のどの部屋でリスクが高いか
空気検査は、市販のカビ検査キットを使う方法もありますが、より正確な結果を得るには微生物対策の専門業者に依頼するのがおすすめです。
価格はおおよそ2〜5万円前後で、数日で結果レポートが得られます。
5-2. カビの有無を記録に残す重要性と安心感
調査で得たカビの有無や濃度の情報は、自分たちの安心材料になるだけでなく、将来的なトラブルの防止にも役立ちます。
■ 記録に残すことで得られるメリット
- 売主や仲介業者との交渉材料になる(リフォーム費用を下げるなど)
- 購入後にカビが発覚した際の保証交渉がしやすくなる
- 将来的に売却・賃貸する際に**「検査済み」として付加価値がつく**
また、住宅ローンの審査や保険加入の際にも、「住宅環境が良好である」ことが証明されていると安心材料になります。購入前の調査=家の健康診断と考え、しっかりとカビ対策を見据えた判断をすることが、住んでからの快適な暮らしに直結します。
一般社団法人 微生物対策協会について
一般社団法人 微生物対策協会は、**「カビの検査と対策」を専門とした協会です。カビがもたらす健康被害や、建物の劣化といった問題に対処するために、私たちは室内空気の「見える化」**を通じて、人々の健康を支え、守ることを目的に活動しています。
この活動の法的な根拠は、平成27年に施行された**「アレルギー疾患対策基本法」**にあります。この法律では、アレルギー疾患の予防および症状の軽減を目的として、生活環境や建築構造の改善を進めることが求められています。当協会はこの理念に基づき、より健全な住環境づくりを推進しています。
当協会の主な活動内容は以下のとおりです:
- カビなどの環境微生物の検査・調査を実施し、被害状況を明らかにする
- 室内や車内に浮遊する微生物の**リスク評価と「見える化」**による分析
- カビ被害の状況を把握し、科学的根拠に基づいた的確な対策を提案
- 建物内で多く確認されるカビについて、目に見えないリスクにも対応
- 保健医療・福祉・環境保全を目的とした啓発および改善支援活動
特に近年は、カビによるアレルギー症状や空気環境の悪化が社会問題として注目されており、「見えないリスク」に気づくことの重要性が高まっています。
微生物対策協会では、空気中の浮遊物質の有無や濃度を測定することで、目に見えない汚染の実態を明らかにし、それに基づく対策を講じることで、安心・安全な住空間を提供するお手伝いをしています。