一般社団法人
微生物対策協会

ブログ

2025/07/05   

洗濯物が臭うのはカビかも?クエン酸で安全に除去する方法

洗濯機からイヤな臭いがして、カビが気になるけど掃除方法がよく分からない。
【記事を読んで分かること】クエン酸を使った洗濯機カビ掃除の方法と注意点、予防のコツが分かります。
【記事を読むメリット】安全で簡単に洗濯機のカビを取り除けて、清潔な洗濯環境をキープできます。

洗濯機は毎日清潔な洗濯物を作るための家電ですが、実は内部にカビが発生しやすい環境が整っている場所でもあります。特に洗濯槽の裏側など目に見えない部分にカビが潜んでいることが多く、見過ごしてしまうと洗濯物に臭いが移るなど、さまざまなトラブルの原因になります。まずはその根本原因を理解しておきましょう。

カビが好むのは「湿気・汚れ・栄養分」がある環境です。洗濯機の内部は、まさにこの3条件が揃っている典型的な場所です。使用後の洗濯槽には、水分が残ったままになりやすく、フタを閉めっぱなしにすると内部が蒸れた状態になります。この湿気がカビの発生を助長してしまうのです。

さらに、衣類から出る皮脂汚れ、洗剤の残りカス、柔軟剤の成分などが洗濯槽の裏側に少しずつ付着します。これらがカビの“エサ”となり、湿度の高い槽内で静かに繁殖していきます。外からは見えないため、「毎日洗ってるのに、なんでカビ?」と感じる人も多いですが、実際は内部でどんどん蓄積しているのです。

特に洗濯物の臭いが生乾きのように感じられたり、黒い汚れが洗濯物に付着するようになった場合、それはカビが増殖しているサインかもしれません。

洗濯機には「縦型」と「ドラム式」の2種類が主にありますが、それぞれにカビの発生しやすいポイントや傾向があります。

縦型洗濯機は、洗濯槽の構造上、内部の水がたまりやすく、洗剤や柔軟剤のカスが残りやすい特徴があります。使用後にフタを閉じたままにしてしまうと湿気がこもりやすく、槽内の裏側でカビが繁殖しやすくなります。黒いカスのようなものが洗濯物に付く場合は、すでにかなりカビが進行している可能性があります。

一方、ドラム式洗濯機は節水性が高い一方で、洗剤の泡が残りやすく、乾燥機能を使わないと水分が抜けにくい構造になっています。ドアのパッキン部分に湿気がたまりやすく、そこからカビが発生することが多いのです。見た目にはわかりにくくても、パッキンの裏側に黒カビが広がっているケースも珍しくありません。

それぞれのタイプに応じたメンテナンスが必要になるため、自分の洗濯機の特徴を知っておくことがカビ対策の第一歩です。

市販のカビ取り剤に頼るのが不安、できれば体に優しい素材で洗濯機をきれいにしたい――そんなときに注目されているのが「クエン酸」です。ナチュラルクリーニングの定番で、スーパーやドラッグストアでも手軽に手に入りますが、実際にカビに効果はあるのでしょうか? その特徴と他の洗浄剤との違いを見ていきましょう。

クエン酸は、レモンや梅干しなどに含まれる天然成分で、酸性の性質を持ちます。アルカリ性の汚れ(石けんカスや水垢など)を中和して落とす力があり、同時に軽い除菌・消臭効果もあるのが特徴です。洗濯機の中には、洗剤の残りカスや水垢がたまりやすく、これらがカビの温床となるため、クエン酸を使うことでその原因を取り除くことができます。

ただし、注意したいのは「クエン酸そのものにはカビを殺菌する強い力はない」という点です。クエン酸はあくまで“カビの栄養源を取り除く”という間接的な予防や、初期段階の軽いカビに有効な手段と考えてください。特に黒カビのように根を張ったカビには、別の洗浄剤と併用する必要があります。

そのため、クエン酸は「カビ取り」というよりも、「カビが生えにくい環境を整える」ことが主な役割なのです。

クエン酸、重曹、漂白剤――どれも掃除に使えるアイテムですが、それぞれに得意分野があり、使い分けが重要です。

まずクエン酸は「酸性」で、水垢やカルシウム汚れなどアルカリ性の汚れを落とすのに向いています。洗濯槽の内側や給水ホース、ゴミ受けなど、水回りにぴったりのアイテムです。

次に重曹は「弱アルカリ性」で、皮脂汚れや臭いに強く、クエン酸と組み合わせて使うと泡が発生して洗浄力が高まるという特徴もあります。ただし、洗濯機の種類によっては泡が出すぎて故障の原因になることもあるため、使用時は注意が必要です。

そして**漂白剤(塩素系)**は「強い殺菌力」があります。黒カビなどの頑固な菌に直接働きかけて根から除去してくれますが、刺激が強いため、使い方や頻度には十分な注意が必要です。

要するに、

  • クエン酸=予防や軽度な掃除向き
  • 重曹=皮脂や臭い対策に有効
  • 漂白剤=ガンコなカビを除去する最終手段
    というように、それぞれの特徴を理解して使い分けることが、洗濯機のカビ対策にはとても大切です。

クエン酸は洗濯機内の汚れや水垢を取り除くのに効果的なナチュラル素材です。ここでは、ドラム式と縦型それぞれの洗濯機で安全かつ効果的にクエン酸掃除を行う方法と、実践時の注意点についてご紹介します。

洗濯機のタイプによって掃除方法は微妙に異なりますが、基本的な流れは以下のとおりです。

【共通の準備物】

  • クエン酸(粉末タイプ)…約100g
  • お湯(40〜50℃)…満水分
  • 洗濯機専用洗剤なしで空回しできる設定

【縦型洗濯機の場合】

  1. 洗濯槽にお湯を高水位まで溜めます(40〜50℃が理想)。
  2. クエン酸を100gほど直接洗濯槽に入れて、2〜3分間回して溶かします。
  3. そのまま2〜3時間放置。クエン酸がお湯と反応し、汚れを浮かせます。
  4. しばらくしてから、標準コースで空回しします。汚れやカスが出たら、ネットで取り除いてください。
  5. 最後にすすぎ・脱水を行い、フタを開けて自然乾燥させます。

【ドラム式洗濯機の場合】

  1. クエン酸を洗剤投入口に入れ(または直接ドラム内)、お湯を少しだけ加えます。
  2. ドラム式には「槽洗浄コース」や「お手入れモード」がある場合が多いので、それを選択します。
  3. 使用後はドアパッキン周辺をしっかり拭き取り、開けたまま乾燥させましょう。

※ドラム式の場合は水量が少ない分、汚れが落ちきらないこともあるため、2回行うか、仕上げに水拭きを併用するとより効果的です。

クエン酸掃除を安全に行うためには、いくつかの注意点があります。

まず、「他の洗剤と混ぜない」こと。特に塩素系漂白剤と一緒に使うと、有毒なガス(塩素ガス)が発生する危険があります。掃除の前には、洗濯機内に洗剤の残りがないか確認しておくと安心です。

また、熱湯の使用もNGです。あまり高温のお湯を使うと、洗濯槽や内部パーツを傷める恐れがあります。40〜50℃程度のぬるま湯が最も効果的で、機械にも優しい温度帯です。

頻度については、1〜2ヶ月に1回が目安です。汚れや臭いが気にならなくても、定期的にメンテナンスすることでカビの発生を予防できます。特に湿気が多くなる梅雨時や夏場は、回数を増やすのもおすすめです。

掃除後は、洗濯機のフタやドアを開けてしっかり乾燥させることも忘れずに。クエン酸で内部を清潔に保つことで、安心して毎日の洗濯を楽しめるようになります。

「クエン酸で掃除したのに、なんだか臭いが残っている…」「掃除したはずなのに、汚れが出てきた」――そんな経験はありませんか? クエン酸は安全で手軽な掃除アイテムですが、使い方や洗濯機の状態によっては、思わぬトラブルが発生することもあります。ここでは、掃除後のニオイや汚れの原因と、その対処法を解説します。

クエン酸で掃除したのに洗濯機が「酸っぱい臭い」や「生乾き臭」のようなニオイを発する場合、いくつかの原因が考えられます。

まず多いのが、「洗い残し」です。クエン酸は粉末状で使用することが多いため、しっかり溶け切らないと洗濯槽内に残留し、それが湿気と反応して酸っぱい臭いを発生させることがあります。また、クエン酸で落とした汚れがすすぎきれず、洗濯槽の裏側や排水口に留まっていると、カビや雑菌の原因になることもあります。

対処法としては、掃除後に「追加のすすぎ」を行うことが有効です。特に縦型の場合は、高水位でのすすぎをもう1回追加するだけでも、残留物をしっかり流せます。ドラム式では、すすぎコースや脱水後に扉を開けて、内部をしっかり乾燥させることが大切です。

また、掃除後の通気もポイントです。クエン酸掃除をしたあとは、洗濯機のフタやドアをしっかり開けて乾燥させ、湿気を逃がすことで臭いの発生を防げます。

掃除をしたはずなのに、黒いカスや汚れが洗濯物に付く場合、それは「カビや汚れが奥から剥がれ落ちてきた証拠」です。クエン酸はゆるやかに汚れを浮かせる作用があるため、掃除直後はむしろ汚れが出やすくなることがあります。

この場合は、すぐに慌てず「もう一度すすぎ洗いをする」ことが第一の対処法です。それでも黒い汚れが出続ける場合は、**酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)**を使った洗浄を追加するのが効果的です。酸素の泡でカビの根まで分解し、浮いた汚れを排出しやすくしてくれます。

また、排水フィルターやゴミ取りネットもチェックしましょう。そこにクエン酸で浮いた汚れが溜まっていると、ニオイやカスの原因になります。これらのパーツも掃除の一環として必ず取り外して、定期的に洗浄することが大切です。

最後に、洗濯槽クリーナー(市販の専用剤)を1〜2ヶ月に1回使って、クエン酸との“併用メンテナンス”を取り入れることで、トラブルを防ぎながら清潔な状態を保つことができます。

洗濯機のカビ対策は、掃除だけでは不十分です。もっと大切なのは、日々の使い方や習慣を見直すこと。ちょっとした行動の積み重ねが、カビの発生を未然に防ぎ、洗濯機の寿命を延ばすことにもつながります。ここでは、誰でも簡単にできる予防習慣をご紹介します。

カビの発生を防ぐためには、「湿気を残さない」「汚れをためない」ことが基本です。以下の3つを洗濯後の習慣として取り入れるだけで、カビのリスクを大きく減らせます。

  1. 洗濯機のフタやドアは開けておく
     湿気を閉じ込めると、内部に結露が起こりやすくなります。洗濯後はしっかり開けて、風を通すようにしましょう。
  2. ゴミ取りネット・フィルターのこまめな掃除
     洗濯くずや糸くず、細かな汚れはゴミ取りネットにたまり、そこがカビの温床になります。2~3回の洗濯ごとに中をチェックして、こまめに取り除くことが大切です。
  3. ドアパッキンやゴム部分の水分を拭く
     ドラム式洗濯機の場合、パッキンの内側に水が残りやすく、黒カビが繁殖しやすい場所です。乾いたタオルで毎回さっと拭き取るだけでも効果があります。

これらのケアは1分以内でできるものばかり。手間に感じるかもしれませんが、習慣化すれば自然に身につきます。

日常のちょっとしたケアに加えて、月に一度は定期的なメンテナンスを行うことで、洗濯機内の清潔を保つことができます。ここではおすすめのメンテナンス方法とグッズをご紹介します。

  • クエン酸での洗濯槽掃除(1〜2ヶ月ごと)
     洗濯槽内の軽い水垢・汚れを中和して除去するのに適しています。特にニオイや汚れが気になる前に行うことで予防効果が高まります。
  • 酸素系漂白剤の使用(3ヶ月に1回程度)
     ガンコな黒カビ対策にはこちら。クエン酸では落としきれない奥のカビも分解して浮かせてくれます。
  • 洗濯機用除湿剤や防カビ剤の併用
     ドラム内に設置するだけで湿気を吸収する除湿アイテムや、菌の繁殖を抑えるシートなども市販されています。簡単に取り入れられるのが魅力です。
  • 専用のゴミ取りフィルターで排水汚れ対策
     排水口から逆流してくる臭いやカビを防ぐには、専用フィルターの取り付けも有効です。

これらのアイテムを活用しながら、カビが好まない「乾燥」「清潔」「風通し」の環境を意識して保つことが、洗濯機を長く清潔に使う秘訣です。

一般社団法人微生物対策協会は、主に「カビの検査と対策」に特化した活動を行っている専門団体です。カビによる健康被害や、住宅・建物の劣化といった問題に対し、目に見えない空気中の微生物を「見える化」することで、快適で安全な住環境を整える支援を行っています。

当協会の設立背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があります。この法律では、アレルギーの予防や症状の軽減のために、生活環境の改善を推進することが求められており、当協会はその法的趣旨に基づいて、空気環境の検査と改善提案を専門的に実施しています。

活動の中心は、室内や車室内などの空気中に浮遊するカビをはじめとする微生物の調査です。これらの微細な汚染物質は目では見えませんが、私たちは日常的にその空気を吸いながら生活しています。当協会では、これらの物質の有無や濃度を測定・分析することで、見えない問題を「見える化」し、その性質を明確にしたうえで、的確な対策を講じることを可能にしています。

特にカビによる建物内の被害は非常に多く、カビ菌は空中を漂い、落下した場所でも死滅せずに長く存在し続けます。そのため、被害状況を正確に把握し、再発しにくい環境づくりを行うことが、安全・安心な暮らしのために必要不可欠です。

微生物対策協会は、こうした見えないリスクに対して正しい知識と手法で対応することにより、公衆衛生の向上を目指しています。さらに、保健医療、福祉、環境保全にも寄与する活動を推進しながら、すべての人が健やかに暮らせる社会の実現をサポートしています。

ページトップへ
メールアイコン お問い合わせ  電話アイコン 052-908-0058