一般社団法人
微生物対策協会

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2025/05/05   

「梅雨前に始める!カビと食中毒を防ぐ賢い食材管理法」

梅雨が近づくと、食材の傷みやカビが増え、知らぬ間に食中毒のリスクも高まります。
【記事を読んで分かること】梅雨前の時期に注意すべきカビと食中毒の関係、食材管理のコツや予防方法がわかります。
【記事を読むメリット】大切な家族を守るために、キッチンで今すぐ始められるカビ・食中毒対策が具体的に理解できます。

湿気が高まる梅雨は、カビや細菌が一気に増殖する季節です。特に食品に付着したカビや細菌が原因となる食中毒は、毎年多くの家庭で発生しています。梅雨前に正しい知識を身につけて、未然に予防することが大切です。

梅雨は高温多湿な気候のため、微生物にとっては絶好の繁殖環境です。特に気温が20〜30℃、湿度が70%以上になると、細菌やカビが活発に活動を始めます。これにより、常温保存している食材や調理済みの食品が急速に傷みやすくなり、食中毒の原因となることがあります。また、冷蔵庫内でも油断は禁物。詰め込みすぎて冷気が回らず、温度管理が不十分になると、庫内でも細菌やカビが繁殖してしまいます。梅雨はただ「ジメジメして嫌な季節」というだけではなく、食品の衛生管理においても非常に重要な時期なのです。

カビと聞くと「見た目で分かるから安心」と思いがちですが、実はそうとは限りません。一部のカビは、食品に目立った変色や異臭を起こさないまま毒素(マイコトキシン)を産生し、知らずに食べてしまうことで中毒を引き起こすことがあります。代表的なものに「アフラトキシン」や「パツリン」などがあり、これらは発がん性や肝機能障害などのリスクを持つ非常に危険なカビ毒です。特にパン、ナッツ類、果物などはカビが発生しやすく、少しの変色でも「もったいない」と思って口にすると、思わぬ健康被害に繋がることがあります。カビを見つけたら、部分的に除去するのではなく、食品全体を処分することが鉄則です。

食材によってカビの付きやすさや繁殖スピードには差があります。特に日常的によく使う食材ほど注意が必要です。ここでは、どんな食品が梅雨時に危険なのかを具体的に解説します。

パンは、カビが最も発生しやすい食材のひとつです。市販のパンには防腐剤が使われていることもありますが、開封後に常温で保存すると数日でカビが生えることがあります。特に梅雨時は湿気が高く、キッチンが蒸しやすいため、開封後は密封して冷蔵保存することが推奨されます。

果物も非常にカビやすい食品です。バナナやいちご、ぶどうなどは水分が多く、傷みやすい特徴があり、カビが生えるスピードも早いです。一部が傷んでいたり柔らかくなっている果物は、内部にまでカビが浸透している可能性があるため、早めの消費が基本です。

野菜も同様に、水気を含んだまま保存するとカビや腐敗が進行しやすくなります。特に葉物野菜は注意が必要で、洗ってから保存する場合はよく水気を切ってからラップや保存袋に入れましょう。

「冷蔵庫に入れているから大丈夫」と思われがちですが、実は冷蔵庫の中でもカビは生えます。特に開封済みのチーズ、味噌、ソース類、ジャムなどは、フタやパッキン部分にカビが付きやすいポイントです。取り出す際に汚れたスプーンを使ったり、結露が内部に入ってしまうことでカビの原因になります。

また、庫内の温度管理も重要です。冷蔵庫をぎゅうぎゅうに詰めてしまうと、冷気の流れが悪くなり、特定の場所だけ温度が上がってしまうことも。ドアの開閉が多い家庭では、庫内温度が頻繁に変化するため、食品の劣化が進みやすくなります。食材はなるべくスペースに余裕をもたせ、適切な位置に配置することで、カビのリスクを大きく下げることができます。

食中毒やカビの被害を防ぐには、日頃の食材管理が何よりも重要です。保存方法の見直しとちょっとした工夫で、梅雨時でも安心・安全に食材を扱うことができます。

カビや細菌の繁殖を防ぐには、まず温度・湿度の管理がカギとなります。常温で保存できる食材であっても、梅雨の時期には冷蔵庫に移すほうが安心です。特にパン、果物、調理済みの総菜類は、開封後すぐに冷蔵保存することが推奨されます。

また、保存容器の選び方も重要です。タッパーやジッパーバッグなど密閉できる容器を使い、空気との接触を減らすことで酸化や湿気を防げます。湿気の多い時期には、保存袋の中にキッチンペーパーを入れて吸湿させるなどの工夫も有効です。

さらに、冷蔵庫内の定期的な掃除も忘れてはいけません。庫内の棚やパッキン部分にカビが潜んでいることもあるため、1〜2週間に一度はアルコールや中性洗剤で清掃を行いましょう。清潔な保存環境を整えることが、カビと細菌の繁殖を防ぐ第一歩です。

「先入れ先出し」とは、先に買った食品から優先的に使い、後から購入したものを後ろに回すという管理法です。このルールを守ることで、食材の使い忘れや無駄な廃棄を減らし、結果的にカビや食中毒のリスクも抑えることができます。

実践するには、冷蔵庫内をカテゴリーごとに整理して収納し、手前に古いものを置くように心がけましょう。また、冷蔵庫に「在庫メモ」を貼ったり、スマホのメモアプリを使って食材の使用期限を管理するのも効果的です。

さらに、梅雨前には一度「冷蔵庫の中身総点検」を行い、消費期限切れや開封後長期間放置されたものがないかをチェックしましょう。食材を「入れること」よりも「使い切ること」を意識することが、衛生的で無駄のないキッチン環境をつくるポイントです。

梅雨前の食材管理に加え、調理環境の衛生を保つことも食中毒予防には欠かせません。カビや細菌の発生を抑えるために、今すぐ実践できる家庭内のポイントを紹介します。

キッチンは湿気がこもりやすく、カビや細菌が繁殖しやすい場所です。特にシンクや排水口、スポンジ周辺など水分が多く残りやすい場所は、定期的な清掃が必要です。毎日使うシンクは、使用後に乾いた布で拭き取り、湿気を残さないように心がけましょう。

また、見落としがちなのが「除湿」。特に梅雨の時期は、調理中の蒸気や洗い物の水滴によって、キッチン内の湿度が急上昇します。換気扇をしっかり回す、可能であれば除湿器を置くなどして、空間全体の湿度を下げる工夫が必要です。定期的に窓を開けて換気を行うことも、カビの予防につながります。

キッチンの床や戸棚の中など、普段あまり掃除しない場所にも湿気がこもってカビが生えることがあるので、梅雨前のこの時期に一度大掃除をしておくと安心です。

調理器具やまな板、布巾などは直接食材に触れるため、清潔を保つことが何より大切です。まな板は肉や魚用、野菜用で分けるのが基本で、使用後はすぐに洗い、しっかり乾燥させましょう。特に木製のまな板は湿気を吸いやすく、カビの温床になりやすいので、熱湯消毒やアルコールスプレーの併用がおすすめです。

また、布巾やスポンジは雑菌の温床になりがちです。1日1回は煮沸消毒または電子レンジで加熱消毒を行い、定期的に新しいものと交換することも忘れずに。できれば「使い捨てタイプ」のキッチンペーパーなども併用すると衛生面で安心です。

調理器具や台所用品の管理が甘いと、せっかくの食材管理も台無しになってしまいます。キッチン全体を「清潔で乾燥した空間」に保つことが、家庭でできる最大のカビ&食中毒予防策です。

食中毒は突然の体調不良として現れることが多く、早めに気づいて正しく対処することが大切です。カビが原因となる中毒症状の特徴と、受診や対応のタイミングについて解説します。

カビによる食中毒は、主に「カビ毒(マイコトキシン)」の摂取によって起こります。摂取してすぐに症状が出ることは少なく、時間をおいてから体調に異変が現れるケースもあるため、注意が必要です。主な症状には、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、倦怠感などがあります。また、アフラトキシンなど特定のカビ毒は肝臓にダメージを与えるため、長期的には肝機能障害や免疫力の低下を招くリスクもあります。

食品を食べたあとにこうした症状が出た場合は、安易に自己判断せず、まずは水分補給をしながら安静にし、症状が治まらなければ速やかに医療機関を受診しましょう。特に小さなお子様や高齢者は脱水症状を起こしやすいため、早めの受診が推奨されます。明らかに傷んでいた食品やカビが付着していた食品を摂取した場合は、その旨を医師に伝えることも重要です。

食中毒の症状が出た場合、次のような状況では迷わず医療機関へ相談してください。

  • 高熱(38℃以上)が続く
  • 血便が出る
  • 嘔吐や下痢が何度も続いて水分が取れない
  • 強い腹痛やけいれんを伴う

受診の際は、いつ何を食べたか、どんな症状がいつから出ているかをメモしておくと、スムーズに診断を受けられます。また、日頃から家庭に整腸薬、経口補水液、体温計などを備えておくと、いざというときに慌てずに対応できます。

さらに、食品衛生の基本ルール「つけない(菌を持ち込まない)・増やさない(増殖を防ぐ)・やっつける(加熱・洗浄で除去)」を意識することで、そもそも食中毒の発生を未然に防ぐことが可能です。日頃の心がけが、家族全員の健康を守る大きな力になります。

一般社団法人微生物対策協会は、カビの検査と対策を柱とし、人々の健康と快適な住環境を守ることを目的とした団体です。カビは目に見えにくく、気づかないうちに私たちの生活や健康に深刻な影響を及ぼす存在です。特に室内空気中に浮遊するカビ菌は、アレルギー症状や呼吸器系の疾患を引き起こす可能性があり、早期の検査と対処が求められます。

当協会の設立背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があります。この法律では、生活環境の改善を通じてアレルギー症状の予防や軽減を図ることが明記されており、私たちはその理念に基づいた活動を行っています。

具体的には、室内や車室内の空気中に浮遊する微生物を検査・調査し、その「見える化」によって、カビの発生状況や濃度、種類などを明確にします。これにより、より効果的かつ適切な対策を講じることが可能になります。カビは落下した場所でも生存を続けるため、見えない部分にまで目を向けることが重要です。

また、当協会では、検査結果を基にしたアドバイスの提供だけでなく、一般のご家庭や事業者への啓発活動も積極的に行っています。公衆衛生、保健医療、福祉、環境保全といった観点からも、健全な住環境を支えるための取り組みを進めています。

カビに関する不安やトラブルを感じたら、ぜひ私たち微生物対策協会にご相談ください。あなたとご家族の「安心・安全な暮らし」を守るため、専門的な知見と経験でサポートいたします。

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